
「新NISA、月いくら積み立ててる?」──めちゃくちゃ気になるけど、リアルでは聞きにくい質問No.1かもしれない。
ネットで調べると「平均は月5〜6万円」みたいな数字が出てくる。でもちょっと待って。その平均、月30万円フル投資している人も含んだ数字です。
この記事では、平均値ではなく「中央値」──つまり「ちょうど真ん中の人」がいくら投資しているかを、年代別に見ていきます。
まず、よく引用される「平均値」を見てみます。
| 調査元 | 対象 | 月額平均 |
|---|---|---|
| 日本証券業協会(2025年)[^1] | つみたて投資枠のみ | 約39,000円 |
| オカネコ(2025年1月)[^2] | つみたて投資枠 | 62,361円 |
| 400F(2024年)[^3] | つみたて投資枠 | 58,628円 |
月3.9万円〜6.2万円。同じ「つみたて投資枠の平均」なのに、調査によって2万円以上の開きがある。
なぜこんなにバラつくのか? 理由は主に2つあります。
1つ目は、調査対象の違い。 日本証券業協会の数字は証券会社経由の口座データで、銀行経由のNISA口座は含まれていません。一方、オカネコや400Fの調査はWebアンケートで、回答者は「投資に関心が高い層」に偏りやすい。関心が高い人ほど投資額も多い傾向があるので、アンケート調査は高めに出ます。
2つ目は、平均値そのものの性質。 平均値は一部の高額投資家に引っ張られます。たとえば10人中9人が月1万円、1人が月100万円なら、平均は月10.9万円。「普通の人」の実感とはまったく合いません。
じゃあ、本当の「普通」を知るにはどうすればいいのか。ここで登場するのが中央値です。
中央値とは、全員を金額順に並べたときにちょうど真ん中に来る人の金額のこと。100人いたら50番目の人がいくら投資しているか、という数字です。
平均値と違って、一部の高額投資家がいても数字がほとんど動きません。だから「自分は普通と比べてどうなのか?」を知りたいときは、中央値のほうがずっと参考になります。
楽天インサイトの調査[^4]によると、新NISAのつみたて投資金額の中央値は月2万〜3万円。平均値(月3.9万〜6.2万円)の半分以下です。
年代別に見ると、以下のようになります。
| 年代 | 平均値(月額) | 中央値(月額)※推定 | ギャップ |
|---|---|---|---|
| 20代 | 約42,000円 | 約15,000〜20,000円 | 約2〜3倍 |
| 30代 | 約56,000円 | 約25,000〜30,000円 | 約2倍 |
| 40代 | 約62,000円 | 約30,000〜35,000円 | 約2倍 |
| 50代 | 約59,000円 | 約25,000〜30,000円 | 約2倍 |
※年代別の中央値は、日本証券業協会調査[^1]・オカネコ調査[^2]・楽天インサイト調査[^4]の複数データから推定した参考値です。
どの年代でも、平均値は中央値の約2倍になっています。20代に至っては3倍近い開きがある。
これが意味することはシンプルです。「平均月4〜6万円」という数字を見て「自分は少なすぎるかも」と感じる必要はない。 真ん中の人は月2〜3万円。20代なら月1.5〜2万円で「普通」です。
「中央値はわかった。で、自分はいくらにすればいい?」
よく言われるのは「手取りの10%を投資に回す」というルール。ただ、手取り20万円の10%(2万円)と手取り40万円の10%(4万円)では、生活へのインパクトがまったく違います。家賃や食費を払った後に残る金額は、手取りに比例しないからです。
実態に近い「現実ライン」を、手取り別に整理しました。
| 手取り月収 | 10%ルール | 現実ライン(中央値) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 20,000円 | 10,000〜15,000円 | まずは1万円で十分 |
| 25万円 | 25,000円 | 15,000〜20,000円 | 余裕があれば2万円に |
| 30万円 | 30,000円 | 20,000〜30,000円 | ボリュームゾーン |
| 35万円 | 35,000円 | 25,000〜33,000円 | 無理なく続けられる範囲 |
| 40万円以上 | 40,000円〜 | 30,000〜50,000円 | 成長投資枠の併用も視野に |
「月1万円じゃ意味ないんじゃ…」と思うかもしれない。でも、少額でも長く続けることの威力は、複利計算を見ると一目でわかります。
| 月額 | 10年後 | 20年後 |
|---|---|---|
| 10,000円 | 約155万円 | 約411万円 |
| 20,000円 | 約311万円 | 約822万円 |
| 30,000円 | 約466万円 | 約1,233万円 |
| 50,000円 | 約776万円 | 約2,055万円 |
※年利5%で計算[^6]。過去20年の世界株式インデックス(MSCI ACWI)の平均リターンを参考にした試算であり、将来のリターンを保証するものではありません。
月1万円でも20年で約411万円。月3万円なら約1,233万円。「少額でも、やるかやらないかの差」がいかに大きいかがわかります。
大事なのは「いくら入れるか」より「途中でやめないこと」。生活費を削ってまで投資額を増やすと、結局は苦しくなって売却することになりかねません。無理なく続けられる金額が、あなたにとっての正解です。
新NISAのつみたて投資枠は年間120万円、月に換算すると最大10万円まで投資できます。
「非課税枠は使い切った方がいい」という情報を見て、初月から10万円に設定する人がいます。でも、生活費がカツカツになって3ヶ月で積立を止めてしまったら本末転倒。月1〜3万円で始めて、半年くらい生活への影響を見てから増額するのが現実的です。
SNSで「月10万円積み立ててます」「年間360万円投資しました」という投稿を見ると、自分の投資額が少なく感じるかもしれません。
でも、ここまで見てきたとおり中央値は月2〜3万円。SNSに投稿するのは投資額が多い上位層が中心で、「月1万円コツコツ積み立ててます」という人はわざわざ発信しません。見えている情報に偏りがあることを知っておくだけで、無駄な焦りは減ります。
2024年8月、いわゆる「令和のブラックマンデー」で日経平均は1日で4,451円下落しました[^5]。SNSは阿鼻叫喚で、「NISAやめた」がトレンド入りした日です。
でも翌月には大部分を回復し、その後も上昇を続けました。あのとき売らずに持ち続けた人が正解だったのは、後から振り返れば明白です。
積立投資の仕組みは「毎月同じ金額を買い続ける」こと。株価が下がったときは、同じ金額でより多くの口数を買えます。つまり下落は「安く仕入れるチャンス」でもある。 暴落時にやるべきことは「何もしない」──これが積立投資の鉄則です。
Q. 新NISAの積立額、みんな月いくら?
→ 平均は月3.9〜6.2万円(調査により幅がある)。ただし中央値は月2〜3万円。「ちょうど真ん中の人」の金額はこのくらいです。
Q. 新NISAは月いくらから始めるべき?
→ 手取りの10%が一般的な目安ですが、月1万円からでも十分。20年間積み立てれば年利5%の試算で約411万円になります。
Q. 年代別の積立額の目安は?
→ 中央値ベースで、20代:月1.5〜2万円、30代:月2.5〜3万円、40代:月3万円前後、50代:月2.5〜3万円。収入が上がったタイミングで増やせばOKです。
Q. NISAの積立額は途中で変えられる?
→ いつでも変更できます。まずは少額で始めて、生活に影響がなければ増やす。 これが一番失敗しにくいやり方です。
これから始める派 → まずは月10,000円。ネット証券で口座を開設して、オルカンかS&P500のインデックスファンドを1本選ぶだけ。迷ったら両方に5,000円ずつでもOKです。
すでにやってるけど足りてるか不安派 → 中央値は月2〜3万円。今の積立額がこのレンジに入っているなら、あなたは「普通」以上。焦って増やす必要はありません。
もっと積極的にいきたい派 → つみたて投資枠(月10万円)に加えて、成長投資枠(年240万円)の活用を検討しましょう。ただし生活防衛資金(手取り3〜6ヶ月分)は必ず確保してから。
そもそも自分の家計がわからない派 → 投資額を決める前に、まず自分の支出を把握するところから。Median Ofで同世代・同年収の家計と比較してみてください。「自分が何にいくら使っているか」が見えると、投資に回せる金額も自然と決まります。