
「あっちのスーパーの方が安いけど、ちょっと遠いんだよな…」
安いスーパーに車で行くと本当に得なのか?ガソリン代を含めて計算したら、実は損してるんじゃないか?食費を気にしている人なら、この問題に一度はぶつかるはずです。
今回は感覚じゃなくて、移動コストと節約額の差し引きをシンプルに数字で出してみます。
移動コストはシンプルで、ガソリン代 ÷ 燃費で出ます[^1]。2026年2月時点のレギュラーガソリン全国平均は約157円/L[^2]。ここでは計算しやすく160円/Lで統一します。
| 移動手段 | 燃費の目安 | 1kmあたりのコスト | 往復1kmあたり |
|---|---|---|---|
| 徒歩 | — | 0円 | 0円 |
| 自転車 | — | 0円 | 0円 |
| 原付 | 約40km/L | 4円 | 8円 |
| 軽自動車 | 約20km/L | 8円 | 16円 |
| 普通車 | 約13km/L | 12円 | 約25円 |
ここで一番大事なのは、徒歩と自転車の移動コストはゼロだということ。当たり前のようだけど、これがこの後の計算に大きく効いてきます。
移動コストがゼロなので、計算するまでもなく歩ける範囲・自転車で行ける範囲に安い店があるなら、そっちに行くのが常に得です。1円でも安ければその分丸々浮く。
じゃあ限界はどこかというと、人間の体力と時間。
ただし、ここには金銭じゃない隠れコストがある。これは後で触れます。
面白いのはここからです。車やバイクで遠くの安い店に行く場合、ガソリン代が節約分を食い潰す瞬間がある。
まず「安い店ってどのくらい安いの?」を具体的にイメージしましょう。イオンのような一般的なスーパーと、業務スーパーのようなディスカウント店で1回の買い物を比べると、だいたいこんな差が出ます[^3]:
| 商品 | 一般スーパー(イオン等) | 激安店(業務スーパー等) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 鶏むね肉300g | 300円(約100円/100g) | 210円(約70円/100g) | −90円 |
| 卵10個 | 310円 | 248円 | −62円 |
| 牛乳1L | 266円 | 218円 | −48円 |
| 食パン6枚切 | 170円 | 128円 | −42円 |
| もやし1袋 | 38円 | 29円 | −9円 |
こんな感じで5〜6品買うと、1回で100〜300円くらいの差になることが多い。業務スーパーのようなガチの激安店でまとめ買いすれば500円以上の差がつくこともあります。
じゃあ、この「1回○○円の得」がガソリン代で消えるのはどこからか?
| 1回の買い物で安くなる額 | 原付(片道) | 軽自動車(片道) | 普通車(片道) |
|---|---|---|---|
| 100円安い(もやし+卵の差額くらい) | 6.2km | 3.1km | 2.0km |
| 200円安い(肉+卵+牛乳の差額くらい) | 12.5km | 6.2km | 4.0km |
| 300円安い(上の表5品全部くらい) | 18.7km | 9.3km | 6.0km |
| 500円安い(業務スーパーでまとめ買い) | 31.2km | 15.6km | 10.0km |
読み方はシンプルで、この距離を超えたらガソリン代で損するということ。
普通車に注目してください。鶏むね肉と卵と牛乳をちょっと安く買えて200円浮いたとしても、片道5km先の店だったらガソリン代が約125円かかるので、手元に残るのは75円。これが片道3kmなら約75円で済むから、125円のプラス。たった2kmの差で結果が倍変わる。
一番シビアなのが「100円安い」ケース。普通車だと片道たった2kmが限界。「ちょっと安いかな」くらいの店に車で行くのは、思った以上に割に合わないんです。
テーブルだけだと自分の状況に当てはめにくいので、よくあるパターンで計算してみます。
ケース1:「片道2km先の業務スーパーで、肉・卵・冷凍食品をまとめ買い。近所のイオンより500円くらい安い。普通車で行ってる」
→ 往復ガソリン代は約50円。500円 − 50円 = 毎回450円のプラス。週2回行けば月3,600円浮く。これは文句なしに行く価値あり。
ケース2:「片道5km先のスーパー、近所のイオンより全体的に100円くらい安い。車で通ってる」
→ 往復ガソリン代は約125円。100円 − 125円 = 毎回25円の赤字。月8回通えば200円損。わざわざ車で行く意味がない。近い店で買った方が得。
ケース3:「片道3km先の安い店に自転車で行ってる」
→ 移動コストゼロ。100円でも安ければその分丸ごと得。文句なし。
ここまでガソリン代だけで計算しましたが、車にはガソリン代以外のコストもあります。
駐車場代。都市部だと30分200〜300円かかることもある。これが乗ると損益分岐が一気に厳しくなります。片道2kmの業務スーパーでも、駐車場に300円払ったら節約額の大半が消えます。
ついで買いリスク。安い店は品揃えが豊富だったり、特売POPが派手だったりして、つい余計なものを買いやすい。自分も業務スーパーに行くと、予定外の冷凍食品をカゴに入れてしまうことがよくあります。200円節約したつもりが、要らないものに500円使ってたら本末転倒。
それから徒歩・自転車の場合の隠れコストも一応触れておくと、金銭的にはゼロだけど、仕事帰りに重い袋を持って歩く疲労は確実にある。疲れて翌日の自炊をサボってコンビニに直行、となったら節約どころか逆効果。ここは金銭計算では見えない部分です。
| 移動手段 | 行く価値ライン |
|---|---|
| 徒歩・自転車 | 体力の許す範囲なら常に得。金銭的に損する要素がない |
| 原付 | かなり遠くまで得。1回200円安い店なら片道12kmまでOK |
| 軽自動車 | 1回200円安い店で片道6km、100円なら片道3kmが限界 |
| 普通車 | 1回200円安い店で片道4km、100円なら片道2kmが限界。意外とシビア |
一番コスパがいいのは、普段は近い店に徒歩か自転車で行きつつ、週末だけ車でまとめ買いするパターン。まとめ買いで1回の購入額が上がれば節約額も増えて、ガソリン代を十分ペイできます。
たとえば週末に業務スーパーで肉・卵・冷凍食品・調味料をまとめて買って500円安くなるなら、普通車でも片道10kmまで行ける。買う量が多いほど遠くまで行く価値が出る。
結局、安い店に行く価値があるかどうかは「移動手段」「距離」「1回の買い物額」の3つで決まる。感覚で「なんとなく安い方がいいよね」じゃなくて、この損益分岐を頭に入れておくだけで、判断がずっとシンプルになりますよ。
スーパーの使い方を最適化したら、次は日々の食費全体も見直してみましょう。自炊レベル別に月の食費がどう変わるか、具体的な数字でまとめています。
食費と同じくらい効果的なのが固定費の見直しです。家賃・通信費・保険は一度削れば毎月ずっと効いてきます。

Q. 業務スーパーが片道5km先にある。普通車で行く価値はある?
1回の買い物でどれだけ節約できるかで変わります。普通車で片道5kmだと往復ガソリン代が約125円。1回の節約額が200円未満ならガソリン代に負けます。業務スーパーで肉・卵・冷凍食品をまとめて500円以上安くできるなら、十分行く価値があります。「まとめ買いのついでに行く」が正解です。
Q. 毎日コンビニで買うより、週1回まとめてスーパーで買う方が安い?
はい、コンビニに比べれば圧倒的に安くなります。コンビニは同じ食材でもスーパーより20〜30%高い場合がほとんど。週1まとめ買いなら鮮度の問題はあるものの、食費を大幅に削れます。ただし行き過ぎたまとめ買いは食材ロスのリスクもあるので、1〜2週間で使いきれる量に絞るのがコツです。
Q. 車を持っていないが、安いスーパーが遠い場合は?
自転車が最強です。移動コストゼロで、体力さえあれば片道3〜5kmの範囲まで十分カバーできます。荷物が多い場合は前かごや後ろキャリアに荷物を積めるシティサイクルが便利。電動自転車なら坂道や重い荷物も気になりません(購入コストは発生しますが、長期で見ると元が取れます)。
本記事のシミュレーションは、「ガソリン代のみ」を移動コストとして計算しています。車両の減価償却費・タイヤ等の消耗品・保険料・駐車場代は含んでいません(これらを含めると損益分岐はさらに短くなります)。
[^1]: 燃費は一般的な目安値を使用。原付はホンダ スーパーカブ等の実燃費約40km/L、軽自動車はワゴンR等の実燃費約20km/L、普通車はコンパクトカー〜セダンの実燃費約13km/Lを想定。実際の燃費は車種・運転状況により異なる。 [^2]: 資源エネルギー庁「石油製品価格調査」2026年2月24日時点。レギュラーガソリン全国平均小売価格157.1円/L。本記事では計算の簡便さのため160円/Lで統一。 [^3]: 食品の「一般スーパー」価格は、総務省「小売物価統計調査(動向編)」2025年11〜12月の全国平均値を参考(鶏卵10個パック約310円、牛乳1L約266円、鶏肉100gあたり約100円)。「激安店」価格は業務スーパー店頭価格(国産鶏むね肉2kg約1,400円=約70円/100g等)を参考にした目安値。実際の価格は店舗・地域・時期により異なる。