
「iDeCo、みんな月いくら積み立ててるんだろう?」──新NISAと並んで気になるのに、やっぱりリアルでは聞きにくい。
ネットで調べると「平均は月16,640円」という数字が出てきます。でもちょっと待って。その平均、月6万8,000円フルで拠出できる自営業者も含んだ数字です。
会社員のあなたが基準にすべき「真ん中」は、実はもっと低い。この記事では、平均値のウラに隠れた「職業別のリアルな掛金」を、公式データで分解していきます。
まずは公式の数字から。国民年金基金連合会「iDeCoの加入等の概況」によると、iDeCoの平均掛金額は月16,640円(2025年11月末時点)[^1]。加入者は約390万人にのぼります[^2]。
「じゃあ自分も1.6万円くらいにしておけば普通か」と思うかもしれません。でも、ここに平均値の落とし穴があります。
iDeCoの掛金には、職業(国民年金の加入区分)ごとに上限が決まっています[^3]。
| 加入区分 | 主な対象 | 掛金の上限(月額) |
|---|---|---|
| 第1号 | 自営業・フリーランス | 68,000円 |
| 第2号 | 会社員(企業年金なし) | 23,000円 |
| 第2号 | 会社員(企業年金あり)・公務員 | 20,000円 |
| 第3号 | 専業主婦(夫)など | 23,000円 |
自営業者(第1号)は月6.8万円まで拠出できる一方、会社員(第2号)は2.3万円または2万円が上限。上限が3倍違うんです。
そして平均値は、一部の高額拠出者に引っ張られます。職業別に平均掛金を見ると、構造がはっきりわかります[^1]。
| 職業(加入区分) | 平均掛金(月額) | 上限額(月額) |
|---|---|---|
| 第1号(自営業者など) | 27,308円 | 68,000円 |
| 第2号(会社員・公務員など) | 15,373円 | 20,000〜23,000円 |
| 第3号(専業主婦(夫)など) | 14,119円 | 23,000円 |
全体平均16,640円は、上限が高く掛金も多い自営業者(27,308円)に引き上げられた数字。加入者の大半を占める会社員の平均は15,373円で、全体平均より1,200円以上低いのです。
ここでMedian Ofらしい話を少しだけ。
平均値(mean)は、極端に大きい人がいると上にズレます。たとえば加入者10人のうち9人が月1万円、1人が自営業の上限・月6.8万円なら、平均は約1.58万円。でも「真ん中の人=中央値」は月1万円です。平均は“実際にはあまりいない金額”になりがちなんです。
iDeCoはまさにこの構造。自営業者は加入者全体では少数派ですが、1人あたりの掛金が会社員の倍近い。だから全体平均が上に引っ張られます。
ひとつ正直にお伝えしておくと、iDeCoの公式統計で発表されているのは「平均掛金」であり、統計的な「中央値」そのものは公表されていません[^1]。それでも、加入区分別の平均を見れば、自分が属するグループの実態に近い数字がわかります。会社員なら、全体平均16,640円ではなく「会社員の平均15,373円」を基準にするほうが、ずっと現実的というわけです。
職業の次に気になるのが「同年代はいくら積み立ててる?」。
大和証券が自社のiDeCo加入者データを年代別に集計したところ、年齢とともに掛金を増やしている傾向がはっきり出ています[^4]。20〜30代は無理のない金額で始め、ライフイベントにお金がかかる40〜50代でもしっかり積み増し、60代でラストスパート、という形です。
(※これは大和証券「ダイワのiDeCo」加入者の自社データであり、iDeCo全体の公式統計ではありません[^4]。あくまで傾向の参考として見てください。)
ここからわかる現実的な戦略はシンプルです。若いうちは少額(月5,000〜10,000円)で始めて、収入が上がったら増やす。 iDeCoの掛金は年1回変更できます[^3]。最初から上限いっぱいを目指す必要はありません。
もうひとつ知っておきたいのが制度改正です。2024年12月27日に閣議決定された「令和7年度税制改正の大綱」で、iDeCoの掛金上限の引き上げが予定されています[^5]。
「で、自分はいくらにすればいい?」への答えを、職業別に整理しました。iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象になるので[^3]、節税メリットも踏まえた目安です。
| 職業 | 上限(月額) | 無理のないスタート | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 会社員(企業年金なし) | 23,000円 | 5,000〜10,000円 | 平均は15,373円。収入が増えたら増額を |
| 会社員(企業年金あり)・公務員 | 20,000円 | 5,000〜10,000円 | 2026年12月に上限引き上げ予定 |
| 自営業・フリーランス | 68,000円 | 10,000〜30,000円 | 退職金がない分、節税枠は最大限活用したい |
| 専業主婦(夫) | 23,000円 | 5,000円〜 | 所得がないと所得控除メリットは薄い。運用益非課税は有効 |
iDeCoは長期運用が前提の制度。月いくらで、30年後にどれだけ差がつくかを見てみます。
| 月額 | 30年間の掛金総額 | 年利3%運用 | 年利5%運用 |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | 180万円 | 約291万円 | 約416万円 |
| 10,000円 | 360万円 | 約583万円 | 約832万円 |
| 20,000円 | 720万円 | 約1,165万円 | 約1,665万円 |
| 23,000円 | 828万円 | 約1,340万円 | 約1,914万円 |
※年利3%・5%で月複利計算、信託報酬・受取時の税金は考慮していません[^7]。過去の利回りを参考にした試算であり、将来のリターンを保証するものではありません。
参考までに、公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の2001年度以降の運用実績は年率4.2%です[^8]。長期・分散で運用すれば、年3〜5%は決して非現実的な数字ではありません。月1万円でも、30年で掛金総額の倍以上になる可能性があります。
Q. iDeCoの平均掛金は?
→ 全体平均は月16,640円(2025年11月末)。ただし上限の高い自営業者(27,308円)に引き上げられた数字です。
Q. 「真ん中」の人はいくら?
→ 公式の中央値は非公表ですが、加入者の多くを占める会社員の平均は15,373円。これが実態に近い「真ん中」です。
Q. いくらから始めるべき?
→ 月5,000円から1,000円単位で設定できます。若いうちは5,000〜10,000円で始めて、収入が上がったら増額するのが王道です。
Q. 上限はいつ上がる?
→ 2026年12月の予定。会社員は実質月6.2万円まで引き上げられる見込みです。
これから始める派 → まずは月5,000〜10,000円。掛金は全額が所得控除になるので、同じ積立でも課税口座より手元に残るお金が多くなります。
すでにやってるけど足りてるか不安派 → 会社員の平均は月15,373円。今の掛金がこのあたりなら、あなたは「普通」以上。焦って増やす必要はありません。
自営業でガッツリいきたい派 → 上限は月6.8万円(2026年12月から7.5万円予定)。退職金代わりに、節税枠を最大限使うメリットが一番大きい立場です。
そもそも家計から見直したい派 → 掛金を決める前に、まず自分の支出の把握から。Median Ofで同世代・同年収の家計と比べてみると、毎月いくらまでなら無理なく回せるかが見えてきます。
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