
全国の一人暮らしの食費中央値は月35,000円[^8]。これを1日3食に単純に割ると、1食あたり約390円です。あなたの1食はこのラインに収まってる?
「そもそも自炊って1食いくらなの?」と気になって検索しても、「100円!」「200円!」みたいな威勢のいい数字ばかりで、自分で計算するといつも合わない気がする。それもそのはず、多くの記事は食材費しか見ていないんです。
実際には米を炊く電気代、コンロの火、レンジの温め——こうした光熱費も乗ります。この記事では、食材費+光熱費を合算した「1食の実コスト」を冷凍食品レベルから本気自炊まで4レベルで分解。最後に食費中央値ライン(約390円)とコンビニ・スーパー弁当を並べた比較表で、自分の位置を確認できるようにします。2026年の最新価格ベースです。
よく「自炊なら1食150円」みたいな記事を見かけます。でもこれ、たいていは食材費だけの数字です。
実際には米を炊く電気代、コンロの火、レンジの温め——これらの光熱費も乗ってきます。とはいえ金額で言えば1食あたり10〜30円程度なので、食材費の5〜10%のインパクト。小さいけれど、「1食150円」の記事が実際には150円でない理由の一部ではあります。
| コスト種別 | 1食あたりの目安 |
|---|---|
| 食材費(主食・主菜・副菜・調味料) | 100〜400円 |
| 光熱費(ガス・電気) | 10〜30円 |
この記事では以降、食材費+光熱費の合算を「1食コスト」として扱います。
自分の自炊コストが「高いのか安いのか」を判断するには、比較対象がいります。そこで使うのが、一人暮らしの食費中央値 月35,000円[^8]。
これを食事回数で割ると:
| 前提 | 1食あたり |
|---|---|
| 1日3食×30日 = 90食で割る | 約390円 |
| 1日2食×30日 = 60食で割る | 約580円 |
この記事では1日3食ベースの約390円を「中央値ライン」として使います。
ただし注意点が1つ。35,000円の中には外食・中食・飲料・間食・調味料のストック代がすべて含まれています。自炊の食材費だけを純粋に抜き出した数字ではありません。なので「自炊の1食コスト」と厳密にイコールで並べるものではなく、「全国の中央値の人が、1回の食事にざっくりどれくらい使っているか」の目安として読んでください。自分の1食コストが中央値ラインを上回っているか下回っているか、位置関係を測るのに使います。
自炊と一口に言っても、冷凍食品を温めるだけの「ゆる自炊」から、食材を切って炒めて盛り付ける「ガチ自炊」までかなり幅があります。4レベルに分けて整理します。
「自炊と呼んでいいかわからない」けど、家で食べる以上これも自炊です。冷凍チャーハン1袋、冷凍パスタ1袋、レトルトカレー+ご飯、みたいな形。
| 項目 | コスト |
|---|---|
| 冷凍食品/レトルト(1食分) | 約250〜350円 [^1] |
| ご飯(自炊分、主食に含まれない場合) | 約65円 [^2] |
| 光熱費(電子レンジ5分) | 約2円 [^3] |
| 1食コスト 合計 | 約320〜420円 |
中央値ライン(約390円)の少し下に収まるゾーン。スーパーの弁当(約589円[^4])よりはしっかり安い。メリットは自由度で、食べたいときに食べたいものを選べる。買い置きが効くので「今日は作りたくない」の逃げ場になる。
ご飯+焼くだけのおかず+インスタント味噌汁、みたいな構成。鶏むね肉を焼いてポン酢をかける、卵炒飯、豆腐丼、このレベルが一番コスパと続けやすさのバランスが良いゾーンです。
| 項目 | コスト |
|---|---|
| ご飯 1食分 | 約65円 [^2] |
| 主菜(鶏むね・豚こま・卵・豆腐などから1品) | 約150〜200円 [^5] |
| 副菜(もやし・冷凍野菜・納豆など) | 約30〜50円 |
| 汁物(インスタント味噌汁) | 約35円 |
| 調味料 | 約10円 |
| 光熱費(ガス/IH5分+炊飯分) | 約10〜15円 [^3] |
| 1食コスト 合計 | 約300〜375円 |
中央値ラインより1食あたり15〜90円安いゾーン。Lv.1の冷凍食品とほぼ同じ金額で、食事の自由度とクオリティがぐっと上がります。毎日やっても苦にならない範囲で、味付けも自分好みに調整できるのが大きい。
週末に2時間かけて、平日5日分の主菜+副菜をまとめて作る。平日はそれをご飯と一緒に温めるだけ。ここがコスパ・続けやすさの両方で最強のゾーンです。
| 項目 | コスト |
|---|---|
| ご飯 1食分 | 約65円 [^2] |
| 作り置き主菜(1食分取り分け) | 約150円 |
| 作り置き副菜×2(1食分取り分け) | 約80円 |
| 汁物(味噌汁、まとめ作り分) | 約30円 |
| 光熱費(週末の調理分を1食に按分) | 約20円 [^3] |
| 1食コスト 合計 | 約345円 |
中央値ラインより1食あたり約45円安い。作り置きの魅力は平日がレンジで温めるだけの生活になること。疲れてても、食事の選択肢で悩む必要がない。食材費はLv.2より若干抑えられていて、まとめ買いで食材ロスも減る、というおいしいとこ取りが可能です。
「本気で節約」するゾーン。鶏むね・もやし・卵・豆腐・業務用冷凍野菜を軸に、献立もほぼ固定。YouTubeで「ひと月1万円生活」みたいな動画でよく見る世界です。
| 項目 | コスト |
|---|---|
| ご飯(業務スーパー米使用) | 約55円 [^2] |
| 主菜(鶏むね肉100g+もやし) | 約115円 [^5] |
| 副菜(冷奴・納豆・キャベツ等) | 約30円 |
| 汁物(自作の野菜スープ、原価按分) | 約20円 |
| 調味料 | 約10円 |
| 光熱費 | 約20〜30円 [^3] |
| 1食コスト 合計 | 約250〜260円 |
中央値ライン(約390円)の約3分の2まで落ちるゾーン。Lv.2からだと1食あたり50〜125円安い計算。ただし献立が固定されがちで「飽き」との戦いになるので、Lv.3の作り置きで変化をつけるほうが続けやすい人は多いはず。
ちなみに食材をしっかりストックする前提なら、安いスーパーまでの距離・交通費も効いてきます。「遠いけど安い店」と「近いけど高い店」、結局どっちが得かを距離別に試算した記事が参考になります。
ここまでの自炊4レベルに、食費中央値ラインと中食を横並びで並べるとこうなります。
| 選択肢 | 1食コスト | 中央値(約390円)との差 |
|---|---|---|
| 自炊Lv.4 ミニマム自炊 | 約255円 | −135円 |
| 自炊Lv.2 シンプル自炊 | 約340円 | −50円 |
| 自炊Lv.3 作り置き | 約345円 | −45円 |
| 自炊Lv.1 冷凍食品 | 約370円 | −20円 |
| ━━━ 食費中央値ライン(約390円)[^8] ━━━ | 約390円 | ±0 |
| スーパー弁当(割引あり) | 約589円 [^4] | +199円 |
| コンビニ弁当+飲み物+1品 | 約1,000円 [^6] | +610円 |
自炊はどのレベルでも中央値ラインの内側に収まるのがわかります。Lv.1の冷凍食品ですら中央値より20円安い。一方、スーパー弁当は中央値ラインを200円ほどオーバー、コンビニ弁当は中央値の2.5倍。
言い換えると、「中央値の食生活」をするために必要なのは、がんばった自炊ではなくLv.1の冷凍食品レベルで十分、ということ。そして中央値ラインからコンビニ弁当までの差額600円超が、毎日積み重なって月2万円近い差を生んでいます。
「節約するなら本格的に自炊しないと意味がない」ではなく、コンビニをやめてLv.1に切り替えるだけで中央値を達成できる、というのが実態です。
さらっと触れた光熱費、もう少し詳しく見ておきます。家計調査では一人暮らしの光熱費は月平均13,098円ですが[^7]、そのうち「調理で使う分」は全体の2〜3割程度です。
調理器具別・1回あたりの光熱費(1人分を想定)
| 機器 | 時間 | 光熱費目安 |
|---|---|---|
| 炊飯器(3合炊飯) | 50分 | 約5〜7円 [^3] |
| 電子レンジ(500W 5分) | 5分 | 約2円 [^3] |
| IHコンロ(中火) | 10分 | 約5円 [^3] |
| ガスコンロ(中火) | 10分 | 約6円 [^3] |
| オーブン(200℃ 20分) | 20分 | 約15円 [^3] |
1食のために使う分は、多めに見積もっても15〜25円の範囲。節約を考えるなら、電気代の高い時間帯(夏夕方・冬夜)の契約プランを確認する方が効きます。
食材費だけ追いかけて1食150円を達成しても、毎日30分かかって2週間で疲れ果ててコンビニにリバウンド、というパターンをよく聞きます。自分も経験あります。
続けるコツは、「そのレベルで1ヶ月は回せるか?」で選ぶこと。中央値(約390円)を基準にすれば、「中央値より少し安いLv.1〜3で回せば十分勝ち」という目標設定もできます。最安を狙わなくていい。
浮いた食費をどこに回すかは別の話。積立投資に回せば複利で育っていきます。食費中央値の人は貯金も中央値なのか、という視点は下の記事で確認できます。
Q. みんなは1食いくらかけてるの?
一人暮らしの食費中央値は月35,000円[^8]。1日3食に単純に割ると1食あたり約390円です。この中には外食・中食・飲料・間食もすべて含まれているので、コンビニ中心なら1食1,000円前後になりがち。それでも中央値が390円ということは、中央値の人はすでに自炊や中食を上手く組み合わせて食事していると考えられます。
Q. 自炊の1食は本当に200円で作れる?
食材費だけなら可能です。鶏むね肉+もやし+ご飯+調味料で115〜200円に収まります。ただし光熱費(10〜30円)と、調味料や米のストックを「1食分に按分」した分を加えると、実際の1食コストは250〜350円が現実的なラインです。中央値ライン(390円)との比較では、Lv.4まで行かなくてもLv.2〜3で十分クリアできます。
Q. 光熱費は1食あたりいくらかかる?
炊飯+加熱調理で1食約10〜25円。メインはIH/ガスの加熱(5〜6円/10分)と炊飯器(5〜7円/3合)で、電子レンジは1回2円程度。食材費の5〜10%が目安です。
Q. コンビニ弁当と自炊、結局どっちが得?
金額だけ見ると自炊が圧勝です。コンビニ弁当+飲み物+1品で約1,000円に対して、自炊はどのレベルでも1食250〜370円で、食費中央値ライン(約390円)の内側に収まります。毎日の差600〜750円が、月ざっくり1.8〜2.2万円の差になります。
Q. 一人暮らしで自炊すると月の食費はいくらになる?
Lv.2〜3中心で昼はコンビニなら月4〜4.5万円、昼も弁当持参するLv.4まで行けば月2〜2.5万円が目安。中央値の月35,000円を下回りたいなら、昼だけでもコンビニをやめるのが一番効きます。詳しくは一人暮らしの食費シミュレーションをご覧ください。
Q. 食材費を抑えるために遠い安いスーパーに通うのは得?
距離と交通手段によります。徒歩・自転車なら成立しやすいですが、車の場合はガソリン代で節約分が消えることが多い。距離別に損益分岐を計算した記事で目安を確認できます。
金額ベースでは自炊が圧倒的にコンビニより安く、中央値ラインの内側に収まる——というのが結論。ただ「仕事終わりの15分も惜しい」「副業でもっと稼ぎたい」という人は、調理時間も意思決定に入れていいと思います。その場合はLv.3(作り置き)が最も時間効率がよく、平日の調理時間は温めの3分だけ、週末にまとめて仕込みを済ませる形になります。
それ以外の大半の人にとっては、自炊時間は「労働時間」ではなく「生活時間」なので、金額ベースで判断すれば十分です。
本記事のシミュレーションは、一人暮らし社会人を想定し、2025〜2026年の食材・エネルギー価格をもとに筆者が試算したものです。食費中央値(月35,000円)との比較は、外食・中食・飲料・間食を含んだ総食費を1日3食で按分した目安値で、自炊の食材費と厳密にイコールではない点にご留意ください。家族分のまとめ調理や共働き世帯ではコスト構造が変わるため、あくまで単身者向けの参考値としてお読みください。
[^1]: ニチレイ・味の素・大塚食品等の大手冷凍食品の2025〜2026年参考小売価格。1食分の冷凍パスタ・冷凍チャーハン・冷凍弁当は税込250〜350円が中心価格帯。 [^2]: 米5kgのスーパー店頭相場約3,500〜4,500円(2025年)。白米1kgは炊飯後に約2.2kgとなり、茶碗1杯(150g)あたり約53〜68円。業務スーパー等の安価米なら約55円/杯。 [^3]: 経済産業省資源エネルギー庁および電力各社の2025年時点の料金(電気31円/kWh、都市ガス170円/m³想定)をもとに機器別の一般的な消費量で試算。炊飯器3合=約0.17kWh、電子レンジ500W×5分=約0.04kWh、IH中火10分=約0.16kWh、ガス中火10分=約0.04m³。 [^4]: 総務省統計局「小売物価統計調査(2025年4月)」によるスーパーにおける弁当1個の全国平均価格589円。閉店間際の割引適用でさらに下がる。 [^5]: 総務省統計局 小売物価統計調査(2025年12月〜2026年1月)。鶏むね肉100g 70〜90円、豚こま100g 120〜150円、木綿豆腐1丁(300g)60〜80円、鶏卵10個パック313円。1人分の主菜食材費は最安構成で約115円、標準構成で約200円。 [^6]: マネーポストWEB「会計時に1000円超えてびっくり——昼食で\"コンビニ弁当離れ\"した人たち」。コンビニで弁当+飲料+1品で1,000円前後は一般的。 [^7]: 総務省統計局「家計調査 家計収支編 単身世帯(2025年調査)」。一人暮らしの水道光熱費平均は月13,098円。このうち調理に使われるのは2〜3割程度と推計。 [^8]: 家計簿アプリ「Zaim」利用者データおよび複数の家計メディアの分析による推計で、単身世帯の食費中央値は約35,000円前後とされる。公的統計としての食費中央値は公表されておらず、総務省家計調査の平均値(月44,659円)は外食の多い層に引き上げられる傾向があるため、実感に近い「真ん中の人の食費」として中央値を参照した。