
50代になると、定年後の暮らしや年金、退職金のことが一気に現実味を帯びてきます。「うちの貯金、老後までに間に合うんだろうか」――そんな不安がよぎる人も多いはずです。
先に結論をお伝えします。50代の貯金額は、単身世帯で中央値120万円、二人以上世帯で中央値700万円です[^1][^2]。「50代の平均は999万円」という数字と比べると、中央値の低さに驚くかもしれません。でも、それこそが多くの人のリアルです。
金融経済教育推進機構(旧・金融広報中央委員会)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」による、50代の金融資産(預貯金+保険+投資などの合計)はこうです。
| 50代 | 平均値 | 中央値 |
|---|---|---|
| 単身世帯 | 999万円 | 120万円 |
| 二人以上世帯 | 1,908万円 | 700万円 |
単身世帯は、平均999万円に対して中央値は120万円。その差は約8.3倍で、40代に続いて大きなギャップが残っています。老後が近づいても、「平均は一部の資産家に引っ張られる」構図は変わらないということです。だからこそ、自分の立ち位置は中央値で確認するのが正解です。
50代でいちばん直視すべきデータがこれです。50代の単身世帯の35.2%が「金融資産を保有していない(貯金ゼロ)」と回答しており[^3]、これは20代〜70代のすべての年代のなかで最も高い割合です。二人以上世帯でも18.2%。
老後がもう目前という50代で、単身の3人に1人以上が貯金ゼロ――。これはかなり深刻に見えますが、裏を返せば「同じ状況の人が驚くほど多い」ということでもあります。焦りすぎて落ち込む必要はありませんが、ここから10年の動き方で、老後の景色は確実に変わります。
40代からの流れを振り返りたい人はこちらもどうぞ。

| 中央値 | 40代 | 50代 |
|---|---|---|
| 単身世帯 | 100万円 | 120万円 |
| 二人以上世帯 | 500万円 | 700万円 |
二人以上世帯は500万円→700万円と着実に増えていますが、単身世帯は100万円→120万円とほぼ横ばい。単身の場合、老後直前でも中央値がなかなか伸びない厳しさが見てとれます。
50代は運用に使える時間こそ短いものの、収入がキャリアのピークにあり、子育ても一段落する人が多いため、実は"貯めどき"でもあります。ポイントは3つです。
まず、固定費のダウンサイジング。子どもが独立したなら住居や保険を見直し、浮いたお金を丸ごと貯蓄・投資に回します。

次に、iDeCoの活用。iDeCoは原則65歳まで加入でき、掛金が全額所得控除になります。収入が高い50代ほど節税効果が大きく、老後資金づくりと節税を同時に進められます。

そして、退職金を"いきなり全額投資"しないこと。まとまったお金が入ると気が大きくなりがちですが、まずは生活防衛資金を確保し、残りを新NISAなどで少しずつ運用に回すのが安全です。
要点を整理します。
Q. 50代の貯金、平均999万円と中央値120万円のどっちが目安?
中央値120万円(単身)です。50代単身は平均と中央値の差が約8.3倍あり、平均は一部の資産家に引き上げられています。中央値のほうが同世代の"真ん中"に近い現実的な目安です。
Q. 50代で貯金がほとんどないけど、もう間に合わない?
間に合わないと決めつける必要はありません。50代単身の35.2%が貯金ゼロで、これは全年代でいちばん高い割合です。収入ピークの今こそ貯めどきで、固定費削減とiDeCo活用で老後資金を積み増せます。
Q. 退職金はどう使うのが安全?
まず生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)を確保し、残りを新NISAなどで少しずつ運用に回すのが安全です。まとまった額を一度に投資へ入れるのは避けましょう。
本記事の金融資産保有額は、金融経済教育推進機構(J-FLEC/旧・金融広報中央委員会)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(2025年12月公表)によるものです。同調査の「金融資産」は預貯金・保険・有価証券などを合計した額で、いわゆる預貯金だけの「貯金」より広い概念です。本記事では読みやすさを優先して「貯金」と表記していますが、数値はこの金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含むベース)に基づいています。
[^1]: 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)」。50歳代の金融資産保有額は平均999万円・中央値120万円(金融資産を保有していない世帯を含む)。
[^2]: 同「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)」。50歳代の金融資産保有額は平均1,908万円・中央値700万円。
[^3]: 同調査。金融資産非保有(金融資産を保有していない)世帯の割合は、50歳代の単身世帯で35.2%(全年代で最高)、二人以上世帯で18.2%。