
「もっと年収が高ければ、貯金だってできるのに」――そう思ったこと、ありませんか。たしかに収入は貯金に効きます。でもデータを見ると、同じ年収でも貯まっている人とそうでない人の差が驚くほど大きいことが分かります。
先に結論をお伝えします。単身世帯の場合、年収300万円未満なら貯金の中央値は85万円、500〜750万円なら500万円[^1]。収入とともに中央値は上がりますが、それ以上に「貯める習慣があるかどうか」が効いてきます。この記事で具体的に見ていきましょう。
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年」による、単身世帯の年間収入別の金融資産(預貯金+保険+投資などの合計)はこうです[^1]。
| 年間収入 | 中央値 | 平均値 |
|---|---|---|
| 収入はない | 0万円 | 289万円 |
| 300万円未満 | 85万円 | 677万円 |
| 300〜500万円未満 | 270万円 | 1,047万円 |
| 500〜750万円未満 | 500万円 | 1,398万円 |
| 750万円以上 | 1,100万円超 | 2,000万円超 |
たしかに、収入が上がると中央値も上がっています。300万円未満の85万円に対し、500〜750万円では500万円と約6倍。年収は貯金の土台として無視できません。(※年収750万円以上は該当者が少なく、数値の振れが大きくなります)
ここで注目してほしいのが、どの収入帯でも平均と中央値が大きく離れていることです。たとえば年収500〜750万円の単身世帯は、平均1,398万円に対して中央値は500万円。同じ収入帯でも、たくさん貯めている一部の人が平均を押し上げ、真ん中の人との差は約2.8倍にもなります。
これが意味するのは、「年収が同じでも、貯まっている人とそうでない人がはっきり分かれている」ということ。つまり貯金は、収入の大きさだけでは決まりません。
参考に、二人以上世帯の年収別・中央値も見てみましょう[^2]。年収300万円未満で100万円、500〜750万円で800万円、750〜1,000万円で1,200万円。単身より全体的に高いのは、固定費を分担でき、共働きで貯めやすいからです。ただし「収入が上がるほど中央値も上がるが、平均との差は常に大きい」という構図は、単身とまったく同じです。
年収は簡単には上げられませんが、「貯める習慣」は今日から作れます。ポイントは、収入から先に貯金を天引きする「先取り貯金」です。
具体例で言うと、手取り月22万円の人が、給料日に自動で2.2万円(手取りの1割)を別口座へ移すだけ。年間約26万円、数年で年代の中央値に届きます。「昇給したら貯めよう」と思っていると、収入が増えても生活水準が上がって結局貯まらない――これはよくある落とし穴です。まずは今の収入のまま、仕組みで貯めるのが正解です。
固定費を見直せば、実質的に"使えるお金"が増え、貯金に回せます。

浮いたお金の一部を新NISAに回せば、年収に関係なく、時間を味方につけて資産を育てられます。

要点を整理します。
Q. 年収が上がれば貯金の中央値も上がる?
上がります。単身なら年収300万円未満で中央値85万円、500〜750万円で500万円と、収入とともに中央値も増えます。ただし平均との差は常に大きく、同じ年収でも貯まり方には差があります。
Q. 同じ年収なのに、なぜ貯金額に差が出るの?
「貯める習慣」があるかどうかの差です。どの収入帯でも平均は一部の高資産者に引き上げられており、真ん中の人との差が大きい=収入だけでは貯金は決まりません。
Q. 年収を上げないと貯金は増やせない?
いいえ。先取り貯金と固定費の見直しで、今の年収のままでも貯金は増やせます。昇給を待つより、仕組みで貯めるほうが確実です。
本記事の金融資産保有額は、金融経済教育推進機構(J-FLEC/旧・金融広報中央委員会)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(2025年12月公表)によるものです。同調査の「金融資産」は預貯金・保険・有価証券などを合計した額で、いわゆる預貯金だけの「貯金」より広い概念です。年間収入別の数値は「金融資産を保有していない世帯を含む」ベースで、単身世帯調査・二人以上世帯調査は別々の調査です。年収750万円以上など回答者が少ない区分は数値が振れやすい点にご留意ください。
[^1]: 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年(単身世帯調査)」年間収入別。中央値/平均は、収入はない0万円/289万円、300万円未満85万円/677万円、300〜500万円未満270万円/1,047万円、500〜750万円未満500万円/1,398万円、750〜1,000万円未満2,000万円/2,766万円、1,200万円以上2,070万円/6,122万円。
[^2]: 同「二人以上世帯調査2025年」年間収入別の中央値は、300万円未満100万円、300〜500万円未満550万円、500〜750万円未満800万円、750〜1,000万円未満1,200万円、1,000〜1,200万円未満1,520万円、1,200万円以上3,000万円。