
「子育て世帯の年収は800万円くらい」と聞くと、「うちはそんなにないけど、大丈夫かな…」と不安になりますよね。でもその800万円、平均のマジックが効いた数字かもしれません。中央値で見直してみましょう。
先に結論をお伝えします。児童のいる世帯(子育て世帯)の所得は、中央値712万円、平均820万円です[^1]。全世帯の中央値410万円よりかなり高いのですが、それには「子育て世帯ならではの事情」があります。順に見ていきましょう。
厚生労働省の2024年(令和6年)国民生活基礎調査によると、児童のいる世帯の所得は平均820.5万円、中央値712万円です[^1](2023年の1年間の所得)。
全世帯の中央値410万円と比べると、300万円ほど高い水準。これは、子育て世帯が家計の中でも「稼ぎのピーク期」にあることが大きいです。ただし、ここでも平均(820万円)と中央値(712万円)には100万円以上の差があります。平均は一部の高所得世帯に引き上げられているので、実態に近いのは中央値712万円のほうです。
理由はシンプルで、主に2つあります。
ひとつは、共働きが多いこと。子育て世帯では夫婦ともに働くケースが増えており、世帯としての収入源が2つあるぶん、全体の所得が押し上げられます。もうひとつは、働き盛りの年代であること。子育て期は30〜40代が中心で、キャリアの中でも給料が伸びる時期。この2つが重なって、子育て世帯の中央値は全世帯より高く出ます。
逆に言えば、単独の稼ぎ手だけで子育てをしている世帯にとって、712万円は「共働き世帯を含んだ真ん中」なので、届いていなくても何ら不思議はありません。
「うちは平均の820万円に届いていない」と落ち込む必要はまったくありません。前述のとおり平均は高所得世帯に引き上げられており、中央値712万円に届いていれば、子育て世帯の真ん中より上です。
大切なのは年収の額そのものより、限られた収入の中で教育費と貯蓄をどうバランスさせるか。子育て世帯は教育費が家計を圧迫しがちなので、固定費を見直して「貯める余力」を作ることが効いてきます。

子育て世帯のお金で難しいのは、教育費と自分たちの老後資金を同時に準備しなければならないことです。ここで効くのが、新NISAのような制度を使った長期の積立。教育費のピークを見据えつつ、少額でも早くから積み立てておくと、時間を味方につけられます。

まずは世帯の手取りを把握し、そこから先取りで貯蓄・投資に回す仕組みを作りましょう。年代別の貯金の中央値と照らして、自分たちのペースを確認するのがおすすめです。

要点を整理します。
Q. 子育て世帯の年収の中央値はいくら?
児童のいる世帯の所得は中央値712万円、平均820万円です(2024年国民生活基礎調査)。平均は一部の高所得世帯に引き上げられているため、実態に近いのは中央値712万円です。
Q. なぜ子育て世帯は全世帯より年収が高いの?
共働きが多く収入源が2つあること、そして子育て期が30〜40代の働き盛りで給料が伸びる時期であることが主な理由です。全世帯の中央値410万円より高く出ます。
Q. 平均820万円に届かないと厳しい?
そんなことはありません。中央値712万円に届いていれば子育て世帯の真ん中より上です。単独の稼ぎ手なら届かなくても普通で、大切なのは教育費と貯蓄のバランスです。
本記事の所得金額は、厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査」によるものです。所得は2023年(令和5年)1年間の1世帯当たりの総所得で、「児童のいる世帯」は18歳未満の未婚の者がいる世帯を指します。平均所得金額は概況本体、中央値は同調査の詳細統計表(所得票 第21表・e-Stat)によります。
[^1]: 厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査」。児童のいる世帯の1世帯当たり平均所得金額820.5万円、中央値712万円(中央値は所得票 第21表による)。全世帯の中央値は410万円。