
「男女の賃金格差」はニュースでよく聞くテーマですが、平均値で語られることがほとんど。平均は一部の高給取りに引っ張られるので、実態は中央値で見たほうが正確です。実際、男女の給料の中央値はどれくらい違うのでしょうか。
先に結論をお伝えします。会社員(一般労働者)の給料の中央値は、男性が月32.6万円、女性が月26.0万円[^1]。女性は男性の約80%です。ここでいう給料は「所定内給与」(残業代・ボーナスを除く月額)です。
そしてこの記事でいちばんお伝えしたいのは、差は「年代で開く」という事実。女性の中央値は30代前半を過ぎるとほぼ横ばいになります。順に見ていきましょう。
厚生労働省の令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の所定内給与額(月額)の中央値は、男女でこう違います[^1]。
| 区分 | 中央値 | 平均値 |
|---|---|---|
| 男性 | 32.6万円 | 37.3万円 |
| 女性 | 26.0万円 | 28.6万円 |
| 男女計 | 29.7万円 | 34.1万円 |
男性の中央値32.58万円に対し、女性は26.03万円。差は月6.55万円ほどで、女性は男性の約80%の水準です。男女それぞれで見ても、平均より中央値のほうが低く出るのは、これまでの記事と同じく一部の高給取りが平均を押し上げているからです。
なお、男女間賃金格差(男性=100とした女性の平均賃金)は76.6で、統計を取り始めて以来もっとも小さくなりました[^1]。差は少しずつですが縮まっています。
興味深いのは、平均で見ると男女差がさらに大きく見えることです。平均だと男性37.3万円・女性28.6万円で、女性は男性の76.6%。中央値(約80%)より差が広がります。
これは、男性側に特に高い給料の人(役員・高年収の専門職など)が多く、その人たちが男性の平均をより強く押し上げているため。つまり、男女差を正しくつかむにも中央値のほうが適しているわけです。とはいえ、中央値で見ても約2割の差が残るのは事実です。
ここが本題です。年代別の中央値を並べると、男女でまったく違う軌跡を描きます[^2]。
| 年齢 | 男性の中央値 | 女性の中央値 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 24.1万円 | 23.5万円 | 0.6万円 |
| 25〜29歳 | 27.4万円 | 25.9万円 | 1.5万円 |
| 30〜34歳 | 30.5万円 | 26.9万円 | 3.7万円 |
| 35〜39歳 | 33.4万円 | 27.1万円 | 6.4万円 |
| 40〜44歳 | 35.7万円 | 27.5万円 | 8.2万円 |
| 45〜49歳 | 37.5万円 | 27.6万円 | 9.9万円 |
| 50〜54歳 | 39.5万円 | 27.5万円 | 12.1万円 |
| 55〜59歳 | 40.0万円 | 27.0万円 | 13.0万円 |
20代前半では、男女の差はわずか月6,000円。ほぼ横並びです。ところが30代前半から差が開きはじめ、50代後半には13.0万円まで広がります。
理由は表を縦に見ると分かります。男性の中央値は24.1万円から40.0万円へ、15.9万円も伸びます。一方、女性の中央値は23.5万円から27.0万円へ、伸びは3.5万円だけ。しかも30代前半(26.9万円)から50代後半(27.0万円)まで、およそ27万円前後で横ばいです。
つまり、男女の給料差は「入り口で差がつく」のではなく、その後20年かけて開いていく構造になっています。
月々の給料ではなく、賞与も含めた年収で見ても同じです。国税庁の調査では、平均給与は男性587万円・女性333万円、中央値では男性約507万円・女性約297万円と推計されます[^3]。
女性は年収300万円以下が50.6%と半数を超える一方、男性は17.9%。この分布の違いが、平均の差の正体です。
この差は「同じ仕事で女性だけ給料が低い」という単純な話ではなく、複数の要因が積み重なっています。主なものを挙げると、次のとおりです。
まず、役職の違い。管理職に占める女性の割合がまだ低く、役職手当のつく高給ポジションに男性が多い。次に、勤続年数の違い。出産・育児などでキャリアが中断しやすく、勤続年数に応じて上がる給与カーブで差が出ます。実際、平均勤続年数は男性14.2年に対し女性10.4年です[^1]。さらに、職種の構成。相対的に給与水準の高い職種に男性が多い傾向があります。
先ほどの年代別の表で「女性の中央値が30代以降ほぼ横ばい」だったのは、この3つが30代以降にまとめて効いてくるからです。
なお、この記事の数字はフルタイムの一般労働者が対象で、パートなど短時間労働者は含みません。短時間労働者を含めると、男女差はさらに大きく見える点にも注意が必要です。
男女差は社会全体で少しずつ縮まってきていますが、個人としてできるのは、今の給料(手取り)をどう活かすかに集中すること。給料の額面が中央値でも、固定費を抑えて先取り貯金の仕組みを作れば、資産は着実に増やせます。


要点を整理します。
貯金・年収・給料の中央値をまとめて確認したいときは、こちらの早見表が便利です。自分に近い「等身大の基準」がひと目でわかります。

Q. 男女で給料の中央値はどれくらい違う?
所定内給与(月額)の中央値は、男性32.58万円・女性26.03万円で、女性は男性の約80%です。差は月6.55万円ほどです。
Q. 男女の給料差はいつから開くの?
20〜24歳では月6,000円しか差がありませんが、30代前半から開きはじめ、55〜59歳では13.0万円になります。女性の中央値は30代前半以降、27万円前後でほぼ横ばいです。
Q. なぜ平均だと男女差が大きく見えるの?
男性側に特に高給の人が多く、男性の平均をより強く押し上げるためです。平均だと女性は男性の76.6%ですが、中央値では約80%と、やや差が縮まって見えます。実態に近いのは中央値です。
Q. 男女差はなぜ生まれるの?
役職に占める女性割合の低さ、出産・育児によるキャリア中断で生じる勤続年数の差(男性14.2年・女性10.4年)、給与水準の高い職種の男女構成の違いなどが積み重なった結果です。
本記事の給与額は、厚生労働省「令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査」の一般労働者(企業規模計10人以上)の所定内給与額によるものです。所定内給与額は残業代・賞与を含まない月額です。対象はフルタイムの一般労働者で、短時間労働者は含みません。中央値・平均値はいずれも同調査に基づきます。年収の数値は国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によるもので、年収の中央値は公表値ではなく、同調査の給与階級別給与所得者数から当サイトが算出した推計値です。
[^1]: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者の所定内給与額(月額、企業規模計10人以上)。中央値(中位数)は男性325.8千円・女性260.3千円・男女計296.6千円、平均値は男性373.4千円・女性285.9千円・男女計340.6千円。男女間賃金格差(男=100)は76.6で前年から0.8ポイント縮小し、比較可能な昭和51年以降で最小。平均勤続年数は男性14.2年・女性10.4年。
[^2]: 年齢階級別の中位数は、同調査の統計表(一般労働者・産業大分類 第3表「学歴、年齢階級、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値」産業計、学歴計)による。表中の「差」は当サイトが算出。
[^3]: 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(令和7年9月公表)。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は男性587万円・女性333万円。給与階級別の構成比から、年収300万円以下は男性17.9%・女性50.6%。中央値(男性約507万円・女性約297万円)は同調査の階級別給与所得者数から当サイトが算出した推計値。