
ニュースで「世帯の平均所得は536万円」と聞くたび、「うちはそんなにないけど…」とモヤモヤしませんか。その感覚、まったく正しいんです。データがそれを裏付けています。
先に結論をお伝えします。世帯年収(1世帯当たりの所得)の中央値は410万円。平均は536万円ですが、平均以下の世帯が全体の61.9%、つまり6割超が「平均」に届いていません[^1]。この記事では、なぜ平均が高く出るのか、そして中央値で見た「本当の世帯年収」を解説します。
厚生労働省の2024年(令和6年)国民生活基礎調査によると、1世帯当たりの所得は平均536万円、中央値410万円です[^1](2023年の1年間の所得)。
その差は126万円。そして注目すべきは、「平均所得金額以下の世帯」が61.9%もいるという事実です[^1]。平均と聞くと「真ん中」の印象がありますが、実際には6割超の世帯が平均に届いていない。つまり「平均536万円」は、多数派のリアルではないんです。
理由は、当サイトでおなじみの「平均のカラクリ」です。一部の高所得世帯が、全体の平均を大きく引き上げているのです。
具体例で考えてみましょう。5世帯の年収が、300万・350万・400万・450万円、そして1世帯だけ2,000万円だったとします。この平均は700万円。でも「700万円が普通」と言われて、4世帯は「うちはぜんぜん違う」と感じますよね。一方、金額順の真ん中=中央値は400万円。こちらのほうが実態に近い。
年収の世界では、この「1世帯だけ2,000万円」に相当する高所得層が平均を押し上げます。だから、自分の立ち位置を知るなら中央値410万円を基準にするのが正解です。
「中央値410万円」は全世帯をひとまとめにした数字。実は世帯のタイプによって大きく違います[^1]。
| 世帯タイプ | 所得の中央値 |
|---|---|
| 全世帯 | 410万円 |
| 児童のいる世帯(子育て世帯) | 712万円 |
| 高齢者世帯 | 253万円 |
| 高齢者世帯以外 | 573万円 |
子育て世帯は共働きが多く中央値712万円と高め、一方で年金中心の高齢者世帯は253万円。「世帯年収の平均」は、世帯構成がまったく違う人たちを混ぜた数字なので、なおさら自分と比べる意味が薄いんです。子育て世帯・高齢者世帯それぞれの詳しい中央値は、こちらで解説しています。
「平均世帯年収536万円」のような数字を見て落ち込む必要はありません。6割超がそこに届いていないのですから、中央値410万円に届いていれば「真ん中より上」です。
大切なのは、平均と自分を比べて一喜一憂することではなく、手元に残るお金(手取り)をどう活かすか。同じ年収でも、固定費を抑えて先取り貯金の仕組みを作れば、資産の増え方は大きく変わります。


要点を整理します。
Q. 世帯年収の中央値と平均、どっちが実態に近い?
中央値410万円です。平均536万円は一部の高所得世帯に引き上げられており、実際は平均以下の世帯が61.9%と6割超。中央値のほうが「真ん中の世帯」に近い数字です。
Q. なぜ平均以下の世帯が6割もいるの?
一部の高所得世帯が平均を大きく押し上げるためです。分布が上に長く伸びるので、平均は真ん中よりかなり高い位置に来ます。その結果、6割超が平均以下になります。
Q. 世帯年収は世帯のタイプで違う?
大きく違います。子育て世帯(児童のいる世帯)は中央値712万円、高齢者世帯は253万円です。全世帯の中央値410万円は、これらを混ぜた数字である点に注意が必要です。
本記事の所得金額は、厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査の概況」によるものです。所得は2023年(令和5年)1年間の1世帯当たりの総所得で、平均所得金額・中央値・平均以下の世帯割合は概況本体、世帯類型別の中央値は同調査の詳細統計表(所得票 第21表)によります。
[^1]: 厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査の概況」。全世帯の1世帯当たり平均所得金額536万円、中央値410万円、平均所得金額以下の世帯の割合61.9%。世帯類型別の所得中央値(詳細統計表 所得票第21表)は、児童のいる世帯712万円、高齢者世帯253万円、高齢者世帯以外573万円。