
給料の話をするとき、額面(支給額)で語られがちですが、実際に使えるのは税金や社会保険料を引いた後の「手取り」。この手取りが中央値ではいくらになるのか、逆算してみましょう。
先に結論をお伝えします。手取りは額面のおよそ8割が目安。会社員の給料の中央値・月29.7万円なら手取りは約23〜24万円、年収の中央値413万円なら手取りは約325万円です[^1][^2]。ここは額面の中央値をもとにした概算ですが、「額面のいくらが手元に残るか」の感覚をつかむのに役立ちます。
手取りとは、会社が支払う額面(総支給額)から、社会保険料と税金を差し引いて、実際に口座に振り込まれる金額のことです。主に引かれるのは次の4つです。
まず社会保険料として、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料。これが額面のおよそ15%前後を占め、いちばん大きな塊です。次に税金として、所得税・住民税。合わせて額面の5〜8%ほど。この結果、手取りは額面のおよそ75〜85%(ざっくり8割)になります。
会社員(一般労働者)の給料の中央値は、所定内給与で月29.66万円[^1]。これを額面の月収とみなして手取りを概算すると、こうなります(40歳未満・扶養なしの単身を想定)。
| 項目 | 月額の目安 |
|---|---|
| 額面(給料の中央値) | 29.7万円 |
| − 社会保険料(約15%) | 約4.5万円 |
| − 所得税・住民税(約6%) | 約1.8万円 |
| 手取り | 約23.4万円 |
つまり、給料の中央値29.7万円なら、手元に残るのは月およそ23〜24万円。額面の約8割です。「思ったより引かれるな」と感じるかもしれませんが、これが多くの人のリアルな手取り感です。給料そのものの中央値については、こちらで詳しく解説しています。
賞与も含めた年収ベースでも見てみましょう。年収が上がるほど手取り率は下がるので、一覧にするとその傾向がはっきりします[^3]。
| 額面の年収 | 手取りの目安 | 手取り率 | 月あたり |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約240万円 | 約80% | 約20.0万円 |
| 400万円 | 約320万円 | 約80% | 約26.7万円 |
| 413万円(年収の中央値) | 約325万円 | 約79% | 約27.1万円 |
| 500万円 | 約390万円 | 約78% | 約32.5万円 |
| 600万円 | 約460万円 | 約77% | 約38.3万円 |
| 700万円 | 約530万円 | 約76% | 約44.2万円 |
| 800万円 | 約600万円 | 約75% | 約50.0万円 |
| 1,000万円 | 約730万円 | 約73% | 約60.8万円 |
年収300万円では約80%が手元に残るのに、年収1,000万円では約73%まで下がります。額面が3.3倍になっても、手取りは3.0倍にしかならないわけです。
理由は所得税が累進課税だから。所得が増えるほど、増えた部分にかかる税率が段階的に上がる仕組みです。
具体例で見ましょう。年収600万円の人が年収700万円に上がったとします。額面は100万円増えますが、手取りは約460万円から約530万円へ、70万円しか増えません。増えた100万円のうち30万円は税と社会保険料に回るイメージです。
「昇給したのに、思ったほど生活が楽にならない」と感じるのは、気のせいではなく仕組みの話なんです。年収ごとの立ち位置と手取りは、こちらで年収帯ごとに解説しています。
次に、世帯全体で見てみましょう。世帯年収(所得)の中央値は410万円[^2]。額面410万円の世帯の手取りを概算すると、年およそ320〜340万円、月にならすと約27〜28万円です。
ただし世帯の場合、共働きか単独の稼ぎ手か、扶養家族の有無で手取り率は変わります。同じ世帯年収600万円でも、1人で600万円稼ぐより、2人で300万円ずつ稼ぐほうが手取りは多く残るのが一般的です(税率の段階が低く抑えられるため)。あくまで「額面410万円ならおおむね330万円前後が手元に残る」という目安として捉えてください。
手取りを実質的に増やす方法として、iDeCoやふるさと納税など、税制優遇のある制度を使う手があります。iDeCoの掛金は全額が所得控除になるので、その分だけ税負担が軽くなり、老後資金づくりと節税を同時に進められます。年収が高く税率が上がっている人ほど、控除の効果は大きくなります。
そして何より効くのが、手取りからの先取り貯金。手取り23〜24万円なら、その1〜2割の月2.5万〜4.5万円を給料日に自動で別口座へ移すだけで、着実に資産が積み上がります。
要点を整理します。
貯金・年収・給料の中央値をまとめて確認したいときは、こちらの早見表が便利です。自分に近い「等身大の基準」がひと目でわかります。
Q. 手取りは額面のどれくらい?
おおむね8割(75〜85%)が目安です。社会保険料が約15%、所得税・住民税が約6%引かれるため、額面29.7万円なら手取りは約23〜24万円になります。
Q. 給料の中央値29.7万円の手取りはいくら?
40歳未満・扶養なしの単身を想定すると、手取りは月およそ23.4万円です。社会保険料約4.5万円、税金約1.8万円が引かれた概算で、条件により変わります。
Q. 年収400万円・500万円の手取りは?
年収400万円なら手取り約320万円(月約26.7万円)、年収500万円なら手取り約390万円(月約32.5万円)が目安です。年収が上がるほど手取り率は下がります。
Q. 手取りを増やすには?
iDeCoやふるさと納税など税制優遇制度を使うと、税負担が軽くなり実質の手残りが増えます。そのうえで手取りの1〜2割を先取り貯金に回すのが王道です。
本記事の額面(給料・年収・世帯年収)の中央値は、厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(所定内給与額・月額の分位数)、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」、厚生労働省「2024年国民生活基礎調査」(1世帯当たり所得)によるものです。
手取り額は、これらの額面をもとに社会保険料・税金を差し引いて算出した本記事の概算です。 年齢(40歳以上は介護保険料が加わります)、扶養家族の有無、居住地、加入している健康保険の保険料率、各種控除の適用状況によって実際の金額は変動します。正確な金額はご自身の給与明細や源泉徴収票でご確認ください。また、手取りの中央値そのものが公的に公表されているわけではありません。
[^1]: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者の所定内給与額(月額、企業規模計10人以上、男女計)の中央値296.6千円(約29.7万円)、平均340.6千円。所定内給与額は残業代・賞与を含みません。
[^2]: 厚生労働省「2024年(令和6年)国民生活基礎調査の概況」全世帯の1世帯当たり所得の中央値410万円。手取りは額面の約8割として概算。
[^3]: 年収の中央値413万円は、国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」の給与階級別給与所得者数から当サイトが算出した推計値。年収別の手取りの目安は、単身・扶養なし・40歳未満を想定した当サイトの概算です。